『ミュージックプレイヤー/ Retropolitaliens(Ms.+駄々子)』の話

久しぶりに家を出たら夏になっていました。
皆さまいかがお過ごしでしょうか、Ms.です。

時に、本日2020/8/13にSDVXで配信されました、
『ミュージックプレイヤー / Retropolitaliens(Ms.+駄々子)』はお楽しみいただけましたでしょうか。
ブログ作ってみたはいいけど書くことなさ過ぎて放置していたので、今回は収録記念に『ミュージックプレイヤー』の小話を書いておこうかなと思います。
経緯や制作時の考え方とかがメインです。
ちょっとした楽曲の予備知識や楽曲制作のヒントとして話半分に楽しんでいただければ幸いです。

◆KAC9THまでの経緯

落選(KAC8th)→
<<<よくわからない時空の歪み>>>
→入賞(KAC9th)

『ミュージックプレイヤー』という曲はご存じの方もいるかもしれませんが、実はは前回のKAC8thの時に一度応募して落選した曲です。

KAC9th用に新曲も作っていたんですが、諸々間に合わなさ過ぎて断念、何も送らないのももったいないし、駄々子さんの希望もあって『ミュージックプレイヤー』をちょっと直してもう一回送ることになりました。
そしたら入賞しました。世の中何があるかわからない。
1年越しの採用となったわけですが、奇しくも時を同じくして私も1年間の留年を喫することとなりました。運命的ですね。(関係ない)

というわけで、同じKACコンで不採用が採用に変わった珍しい曲となりました。
要因は今となっては不明です。神のみぞ知る

◆作詞・作曲で考えたこと

歌モノで最優秀を取りたい

KACコンなので、決勝にふさわしい曲を作ろうというのは大前提だったんですが、所謂ボス曲っぽい、荘厳さとかダークな感じだとか、あるいは綺麗でシンフォニックな感じのエンディングっぽさだとかを想像しながらも、激しかったり速かったりした上でそれを歌モノにしようと思うと案外難しいんですよね。
もしかしたら歌モノとしての答えは全然違う形かもしれないし、今年と来年でもたぶん違うものになっていると思います。
なので結局それがどういう曲なのかというのは未だわかっていないわけですが、少なくとも「SOUND VOLTEX」が無ければ生まれなかった音楽ではあるべきかな、と思っています。
これは私の創作全般のテーマの「温故知新」的な考えから来てます。

さていろいろ蘊蓄を垂れてみたんですが、
ぶっちゃけ作曲部分に関してはHE4VENとFIN4LEのオマージュです。
理由は自分のイメージしてた歌モノの形とかなり近く、その2曲の延長線上に一つ答えがあるかなと思いながら作り始めたからです。
それと大好きだからです。
何かにつけて勝手にアンサーソング作りがち

ちなみに最初のプロジェクトファイル名は「kac8_bigband.cwp」です。
ビッグバンド要素はいずこへ。

◆作曲テクニックの話

作曲する人向け

1.イントロ(歌)~間奏

間奏は所謂バッハ主題というやつです。(旋律がg-f#-a-a♭のよう動くモチーフ)
『U.N.オーエンは彼女なのか?』が有名ですね(?)
今回のはたぶん「Ⅰ - Ⅱ/Ⅰ - ⅣM7/Ⅰ - Ⅳm7/Ⅰ」になってます。
トップノートがg-f#-a-a♭の順番で動くのがなんかつよそう(K○NAMI感)なのでエピックな感じの曲を作るときは大体入れたくなってしまいます。

2.Aメロ~Bメロ

付点四分系と7/4(?)拍子がちょっと出てきます。
作ってるときのイメージは4/4の後ろを一拍抜く感じです。
AメロからBメロの展開は正直ノリで作ったのであまり説明できることがないんですが、HE4VENのAメロBメロっぽい部分を歌モノに解釈するとこんな感じかなと思いながら作っていました。
複合拍子でもボーカルメロとしていいものになるようには気を付けていました。

サビ前はsus4からメジャーコードのアレをよく使ってるリズムパターンに乗せて短3度上にするやつです。
付点四分系ですがアクセントが八分の裏(?)というか付点四分の真ん中にあるパターンで、リズムの元ネタはCymbalsのShow Businessのつもりですが、割とよくあるリズムパターンだと思います

3. サビ

テンポが232と歌モノにしてはかなり速いので、八分のノリが強すぎるとあんまりきれいなメロディにならないなーと思いながら作ったので全体的に音価が長めです。

前半のコード

Ⅱm9 – Ⅴ7 – Ⅲ7-Ⅵm7
Ⅱm9 – Ⅴ7 – Ⅲ7-Ⅵ7

普通のコードです。
Ⅵ7はⅥm7でも良いんですが、最初のⅥm7のメロディは主音(1)に解決してるのに対して、Ⅵ7の方のメロディは6に行くのでマイナーっぽさを和らげるためにⅥ7にしています。

後半は2連続頭一拍抜きからの付点四分のキメが入ってます。
ここがこの曲のモーストオリジナルな部分です。
HE4VENとかFIN4LEのサビ終わりをうまいこと取り入れようと思いながら作っていました。なので前半は4+4の8小節ですが、後半は4+2の6小節です
ついでに自分が好きな同主調変換も突っ込みました。キメの最初のメロディー音が3♭になってるのがなかなかイケてると思うんですがどうでしょう?

Ⅱm9 – Ⅴ7 – (Ⅵ♭M7 – Ⅴm7)-Ⅳ#m7(♭5)
ⅣM7 – ⅣM7/Ⅴ

コードはたぶんこんな感じです。キメの部分が半音下降系になってます。

4. サビ後間奏~Cメロ

サビ後の間奏はどうやって作ったか全然覚えてません。
時間がなさ過ぎて勢いで作りました。たぶん短三度上に転調してます。
ここが唯一KAC8→KAC9で作り変えたところです。
Cメロはたぶん元のキーに戻って、Cメロといえば「Ⅵm – Ⅵ♭aug – Ⅰ/Ⅴ – Ⅳ#m7(♭5)」しかないみたいな感じで入れてからBメロに戻ってくる感じでつなぎました。
サビ前のは適当にⅠsus4-Ⅴsus4-Ⅰsus4を仮置きしておいたらなんかかっこよかったのでそのまま使いました。

5. 最後のサビ

チップチューン(大嘘)的なのが入ってから半音転調するよくあるかっこいいやつです。基本的には最初のサビと同じです。ブレイクビーツが後ろに増えてます。

6. アウトロ

Ⅳsus2 でトップノートが1-5-1と上昇してます。
最後は付点4分系で ⅣM9sus2 – Ⅰ/Ⅲ – Ⅲ♭aug – Ⅶ♭9-Ⅶ♭9 – Ⅰ7です。
音楽理論的にどうとかはよく考えてません(爆

◆『ミュージックプレイヤー』の意味

『Music Player』です。『MUSIC PЯAYER』ではないです。

歌詞のテーマを考える時、KAC決勝にやってくる人達ってどんな人なんだろうとずっと考えていました。
音楽ゲームをプレイして、それをみんなが見ている。
その瞬間、選手は音楽を「遊び」、「演奏」していて、それって音楽を作る人、楽器を演奏する人、歌う人、踊る人、何かを表現する人みんなが同じじゃないかな、と思い至りました。

だから決勝の舞台に臨む2人だけでなく、誰もが音楽ゲームを通して、音楽を「遊び」、「演奏」しているんだなという意味を込めて、『ミュージックプレイヤー』というタイトルに決めました。

というわけで、歌詞は『SOUND VOLTEX』に集う全ての人への応援歌にするべく、それぞれの立場からそれぞれの解釈ができるような内容になっています。
気になる人は聞き取ってみてね

◆Retropolitaliensのこと

Retropolitaliensは基本的にわたくしMs.が色々作ったものを駄々子さんに歌っていただく形で成立しています(駄々子さんいつもありがとうございます)
音楽ゲーム以外にも楽曲発表等をしているので、是非のぞいてみてください。

◆おわりに

最後までお読みいただきありがとうございました。
どうでもいいことから結構大事(当社比)なことまでつらつらと書きましたが、楽しんでいただけていれば幸いです。

遊んでくださった方、いつもRetropolitaliensを応援してくださっている方々、ありがとうございます。
今後ともRetropolitaliensと『ミュージックプレイヤー』を何卒よろしくお願い致します。次こそ最優秀取りたいです。もう少し難易度を盛る方法を考えます。

Negative Harmonyの解説的覚書

Negative Harmonyという主にジャズで用いられるらしい理論について、かのJacob Collier氏が解説している動画(しかも誰かが日本語訳している)を見つけて、ようやく理解できた。

(4:40あたりから解説してるコードはG7ではなくD7)

○Negative Harmonyって何?

つまるところNegative Harmonyは、ある調の主音に対する3度を軸に線対称な構成音にそれぞれ変換したコードを代理和音的に扱えるという主張らしい。
しかもそのコードは、5度圏においてその調から同じ距離にあるという。

最初に、Negative Harmonyの音の対応関係は下の画像のようになっている。
調はハ長調、赤線が軸で短三度と長三度の間にある。
この軸から線対称の位置にある音がそれぞれ対応関係にある。
(雑でごめんなさい)

この対応関係でコードを変換の例を挙げる。

ハ長調におけるD7はNegative HarmonyとしてB♭m6をもつという事になる。
(トライアド同士の対応で言えば、Dの対応はB♭m)

また、どのコードに対応しているかは5度圏の表を見ればわかる。

最初に書いたように、調の主音から同じだけ離れたところが対応している。(DとB♭、GとF等)
また、変換するときメジャーコード⇔マイナーコードになる(はず、全部は未確認)。
氏曰く、このNegative Harmonyはキーセンター(おそらくハ長調におけるcとg)に対する同じだけの重力を持っていて、
DとB♭mで言えば、f#はgに上がり、d♭はcに沈むような同じだけの力があるらしい。
また、左回りのコード(F、B♭,E♭の方)は暗く、右回りのコード(G、D、Aの方)は比較的明るく聴こえるという。

○Negative Harmonyの使い方

氏曰く、Negative Harmonyはツーファイブやドミナントモーションなどの機能性の保持よりも、感情的な部分を重視するらしい。
つまり、なんとなくで突っ込んだりしていいらしい(いいのか?)
とりあえずⅡ7-Ⅴ7-Ⅰを
Ⅶ♭m6-Ⅴ7-Ⅰ
Ⅱ7-Ⅳm6-Ⅰ
Ⅶ♭m6-Ⅳm6-Ⅰにしたものを書き出してみた。

どれもなんとなく使えそうな感じではある。
劇的に雰囲気が変わるという感じではなく、何となく違う感じになる効果がありそう。
よほどメロディとぶつかってなければそのままツーファイブと入れ替えても大丈夫そうに思う。
申し訳程度のメロディをつけてみた。

ポップスにも使えそうかな?
Negative Harmony自体は他のコードにも適用できるし、いろいろ試してみると良さそう。
(氏の解説もそんな感じで締められている)

結局のところ、半音の動きが重力を生むという事が基盤になっているので、同主調変換とかその他諸々と組み合わせて使えそう。

以上、内容に関して何かあればコメント等つけていただけると幸いです。

Ms.

EPの通販・DL版のお知らせと色々

Ms.です。
先日のM3に来てくださった方々、ありがとうございました。
予想以上の需要で新譜・旧譜ともに13時前になくなってしまいました。

さて、今回は新旧譜の通販・DL販売のお知らせ等々書いておきます。
今後、Twitterで書ききれなさそうなことをこちらで発信するのでよしなに。

・通販・DL販売について

bandcampを開設しました。
https://ms-iro-atelier.bandcamp.com
新旧譜ともにDL版を購入出来るようになっています。

BOOTHで通販を開始しました。
https://ms-iro-atelier.booth.pm
CD-Rでほしい方はこちらからどうぞ。

また、どちらのEPも次回イベント(たぶん2018秋M3)でも頒布します。
今後の新譜も随時追加するのでイベントに来られない方、買えなかった方など是非ご利用ください。

・その他のおしらせ

○マジカルミライ2018楽曲コンテストで準グランプリでした。
応援ありがとうございました
http://piapro.jp/t/4wTd

Dynamixで配信中の「Speedster, Trickster」がSTELLIGHTSに移植されます。


突然すぎる。(このツイートを見るまで知らなかった)
何はともあれ遊んでいただけると幸いです。

・Retropolitaliensのあれこれ

○What’s Retropolitaliens?
渋谷系(?)ユニット。もうすぐ1年経つってマジ?

最初は何となくボーカルユニット的なものを作りたくて掲示板で募集してたら駄々子さんから連絡があったみたいな感じで始まりました。
Speedster, Tricksterを公開したときはまだユニット名が決まってなくて、最終的に「Retropolitaliens」って名前が思いついたのは2017秋M3の1週間くらい前だった気がします(遅い)
Retro + metropolitan + alienに複数形でRetropolitaliensです。渋谷系っぽい。
今更ですがレトロポリタリアンズって読みます。レトロポって呼んでね♡
曲に関しては、皆様お分かりの通りパクリオマージュが多めです。
歌詞も見ていただけるとより楽しめるかなと思います。

○Retropolitaliensの活動
主にM3と音ゲー周りで頑張っています。
未発表ですがアレアレする(?)のが決まってるのでお楽しみに。

M3の時に「ライブとかしないんですか?」って結構訊かれたんですが、
自分、楽器が全く弾けないので当分出来ません(泣)
タンバリンかシェイカーあたりを練習しようと思います。。。

ちなみに2018秋M3はフルアルバムくらいの曲数でリリース出来るよう、
計画的に頑張ります。(いつもギリギリでごめんなさい)
アルバムに先駆けてフリーリリースとかもしようと思っているので、
今後ともよろしくお願いします。

Ms.